塾だより
どうして古典を勉強するの?
中学生から「古典って昔の日本語で書いてあって、読んでもよくわからないし、何の役に立つの?」と聞かれることがあります。 たしかに、『竹取物語』や『徒然草』などの文章は、言葉づかいも漢字も難しく、最初は取っつきにくいですよね。でも、古典を学ぶことには大切な意味があります。
まず一つめは、日本語の土台を知ることができるということです。古典の言葉は、今の日本語のもとになっています。 たとえば「ありがたい」「いとおしい」「まめに」など、もとは古文に出てくる言葉です。古典を読むと、「昔の人も今の自分と同じような気持ちを持っていたんだ」と気づくことができます。 つまり、言葉を通して人の心をたどる学びでもあるのです。
二つめは、日本の文化や考え方を知ることができるということ。昔の人の暮らしや価値観は、現代とは大きく違います。 でも、四季のうつろいや自然を大切にする心、家族や友人を思う気持ちは、今も変わりません。古典を読むことで、日本人が大切にしてきた感性やものの見方を感じ取ることができます。
また、古典を読む力は、現代文を理解する力の土台にもなります。難しい文章を読み解くとき、 主語や述語の関係をつかむ力、文の流れを整理する力が自然と身につきます。つまり、古典を学ぶことは国語全体の力を伸ばすことにつながるのです。
「ネットであらすじを読めば十分」と思う人もいるかもしれませんが、 自分の目で原文を読んで感じることに意味があります。千年前の人の言葉に、今の自分の感情が重なる瞬間――それこそが古典の面白さです。
古典を学ぶことは、過去と今をつなぐこと。 昔の人の心に耳を傾けることで、 自分の言葉や考え方も豊かになります。少し難しくても、ぜひじっくり味わってほしい学びです。